総務省がマイナンバーカードの普及を促進するため、公務員にカード取得を「勧奨」している。職場(所属部署)と共済組合が一体になって個々の職員に申請書を配布。取得状況も逐一把握する。自治労連の中川悟書記長は「任意とされているカード取得を事実上強制するもので、許されない」と指摘し、申請書の配布・回収や、調査を行うべきでないと訴えている。
マイナンバーカードを健康保険証として使えるようにする健康保険法等改正案が5月に成立(2021年3月に施行予定)した。政府のデジタルガバメント閣僚会議は国家公務員共済組合と地方公務員共済組合について、一斉取得を推進する方針を策定。その具体化を図るため総務省が6月5日と28日付で関連する通知を出した。
総務省通知によると、対象は共済に加入している自治体職員とその家族、一部事務組合や独立行政法人の職員。共済組合に加入していない非常勤職員や採用前の新規採用者にも広げるという。
共済組合が個人宛のカード申請書を作成し、人事担当部署が職場に配布。職員などに対し、19年度中に取得するよう「推奨」する。取得状況を把握した上で、総務省に報告することとした。
中川書記長は「共済組合が持つ個人情報を本人の同意なく勝手に使うもので、目的外使用に当たる。加えて、取得状況が人事考課などに使われれば、職員はもちろん、非正規や新規採用者は拒否しにくく、事実上の強制になる。公務員から始めて国民に広げようという手法であり、許されない」と厳しく批判する。
全国市町村職員共済組合連合会(118万人が加入)は既に職員宛の申請書作成を準備中だという。
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