電機連合は春闘での産別統一闘争のあり方について、一部見直しの検討を始める。7月8、9日、横浜市内で開いた定期大会で確認した。賃上げなど「人への投資」を「各社労使で柔軟に決定すべき」との経営側の主張について、実現可能かを検討する。来春闘に反映させたい考えだ。
電機連合は今年6年目の賃金改善に取り組んだ。経営側は「さらなる上積みは極めて慎重に考えるべき」「月例賃金など金銭的な処遇条件にこだわらず、各社労使で柔軟で決定すべき」などと主張し、交渉は難航したという。
結果は、開発・設計職基幹労働者について、大手組合が千円の水準改善でそろえた。議案によると、集約方向にある63組合中56組合が水準改善を獲得、48組合が千円以上を引き出した。大手の関連グループ労組では、集約方向の268組合のうち211組合が千円、26組合が千円を超えた。
方針は「波及効果の最大化」を図るため、統一闘争の一層の強化を検討するとした。その上で、経営側の言う「人への投資の柔軟性」を実現できるのかを研究・検討するとしている。
電機は大手組合がスト権を産別に移譲し、水準改善額(ベア)の統一回答を得る。その金額を中堅中小、関連グループ労組に波及させてきた。経営側の主張は将来的に下げにくい月例賃金での回答ではなく、その他の処遇改善に変えられないかという主旨。
討論では、三菱電機労連が「政策指標(産別が設定する賃金指標)の最上位水準を超えている組合については、賃金ではなく、退職金や両立支援充実のため、原資の配分に一定の裁量を認めてもいいのでは」と発言。全富士通労連は「統一闘争による波及効果を堅持するには、互いに違いを認め合う包摂的な方向をめざすことが肝要」と続いた。
日立グループ連合は「経営側が人への投資の柔軟性を求めてくるのは、ある程度理解できる」「産別は経営側の真意を深掘りすべきだ。要求前には明確な論点整理と具体的方法論を共有できるよう、速やかな検討を」と要望した。
中澤清隆副委員長は「今後の検討の中で深めていきたい」と応じた。
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野中孝泰委員長はあいさつで、10月の消費増税で消費低迷が懸念されるとし、「社会的課題の解決に向けた春闘の位置付けはますます高くなっている」と春闘の役割を強調した。
米中貿易摩擦の影響が一時帰休や休業などの形で既に表れていると指摘。産別内に「緊急雇用対策本部」を設置し、「非自発的退職者を出さないことが最重点課題」と語った。
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