解雇無効の判決が確定しても、使用者が一定の金銭を支払えば雇用関係を終了させることができる「解雇の金銭解決制」の法制化を阻止しようと、日本労働弁護団が6月25日、都内で集会を開いた。弁護士らは「必ずリストラの武器になる」と述べ、警戒を呼びかけた。
金銭解決制をめぐっては2017年、厚生労働省の検討会が報告書をまとめたが、必要性について委員の合意が得られなかった。その後「金銭救済制」と名を変え、厚生労働省内で制度の技術的な検討が行われている。
徳住堅治会長は「労働法の中核をなす問題。解雇規制が緩められれば、雇用の安定、その他の労働条件も大変難しくなってくる」と指摘。厚労省内での検討について「制度導入の必要性があるのかどうかについての議論を省こうとしていることが最大の問題だ」と批判した。
現在検討されている案は、労働者が「労働契約解消金」を請求する裁判や労働審判を起こした際、解雇無効判決後に使用者が金銭を支払い、雇用を終了させる仕組み。原職復帰を望まず泣き寝入りする労働者の「救済」を掲げている。解消金の上限や下限の水準などを話し合っている。
17年まで検討会委員を務めた水口洋介弁護士は「必ずリストラの武器になる。まずは解雇予告をし『解消金の上限の6割を払う』などと言って、解雇を受け入れさせようとするケースが続出する」と警告した。
〈写真〉労働弁護団の学習会には、連合や全労連、全労協から労働法制関係の実務担当者が参加していた(6月25日、都内)
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