フィリピン人の語学留学生Aさん(30代、女性)が6月26日、違法な退学処分を受けた上、帰国を強要されたとして、日本語学校を運営するホツマインターナショナルに約165万円の損害賠償を求め、東京地方裁判所に提訴した。
●待っていたのはただ働き
「約3万円払えば、日本へ留学できる。食費、寮費はただ。ホテルのような環境に住める」
フィリピンの介護と看護の資格を持つAさんは、こんな甘い言葉で留学を勧誘された。実際に準備を進めると、日本語学校の紹介は後回しで、介護施設職員による面接試験がフィリピンで行われた。費用も膨らんだが、後戻りできず、Aさんは貯金30万円を崩し、ブローカーから11万円を借金した。
昨年4月に来日すると、神奈川県内の介護施設で働きはじめた。留学生の在留資格では週28時間まで働くことが可能だ。しかし、それとは別に最長で月37時間分の「留学生(ボランティア)」という無償労働がシフト表に組まれていた。会社は無償労働で支払われるはずの賃金を寮費(5人部屋)の3万5千円に充当し、不足すれば別途、請求すると説明。事前に説明のない奨学金も貸し付けられ、月給から1万2千円が天引きされていた。
Aさんは昨年末、無償労働に抗議すると、施設の寮から追い出され、日本語学校の寮に移された。今度は日本語学校が退学を迫り、帰国を強要。部屋に男性職員らが居座り、5時間近く監視されたという。Aさんは帰国に応じるからと職員らを説得し、部屋から帰すと、荷物を置いたまま脱出した。
総合サポートユニオンに加入して交渉した結果、施設と今年4月に和解。施設は労働基準監督署から是正勧告を受けた。
語学学校を卒業したら、専門学校に進学し、介護資格を取って日本で働き続けるつもりだったという。「現地ブローカーも最終的には就労ビザで日本に居続けられると説明していた。日本は夢のような国だとだまして、外国人を勧誘するのはやめてほしい」と訴えた。
●事件は氷山の一角
代理人の指宿昭一弁護士は、現地ブローカーと日本語学校、施設の3者が一体となって奴隷的拘束で働かせ、文句を言えば強制帰国させる仕組みだと批判する。「留学生を食い物にして搾取する典型的な事例。本人が強い意思で逃げ出し、支援を受けられなければ、帰国させられていた。似たような人はたくさんいるはず」と述べ、訴訟に至るケースは全国的にも珍しいと指摘した。
支援にあたるNPO法人POSSE外国人労働サポートセンターの岩橋誠さんは「権利侵害が見えたのは氷山の一角だ。手遅れになる前に人権侵害を告発していく」と語った。
〈解説〉実態解明は急務
訴訟を起こされたホツマインターナショナルは東京や、岐阜、大阪で日本語学校を運営する会社だ。同社が作った強制帰国の段取り表には、担当するスタッフ3人の名前、30分刻みの帰国スケジュール、介護施設の給与の差し押さえ額と相殺金まで詳細に書かれ、慣れた様子もうかがえる。
さらに、ホツマインターナショナルと同じ住所、代表者も同姓同名の登録支援機関B&B社も存在する。登録支援機関は、改正入管法で新設された在留資格、特定技能1号の外国人を雇用する際に必要な生活などの支援計画を行い、生活をサポートする届出制の団体だ。
特定技能1号でも支援と称して、Aさんのような人権侵害が発生する可能性は否定できない。組織的な外国人の人権侵害の実態解明と救済が求められている。
〈写真〉「日本は夢のような国だと外国人をだますのはやめて」と訴えるAさん(6月26日、都内)
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匿名 (土曜日, 06 7月 2019 06:10)
金額が165万円は高すぎると思うんですが、結局はお金がほしいだけですか?
popp (火曜日, 09 7月 2019 17:23)
Yes, what mean 165 million.
ウーロン茶 (月曜日, 22 7月 2019 18:13)
災厄な日本語学校ですね!欧米人に対して甘すぎる、アジア人に対して人種差別が酷すぎる日本
みんなの名無し (金曜日, 14 1月 2022 11:13)
1はホツマの関係者かな。論理のすり替えが酷い。金額ではなく労働者獲得の目的で留学ビザを申請しているのが問題なんだけど。しかも、アルバイト先と(たぶんブローカーとも)連携していて悪質だし。
最近、名古屋にも学校を作ったみたいだけど、今はどうなんだろ。
Aaa (木曜日, 02 6月 2022 20:50)
いまもあくどい事やっているよ。最近は、バングラデシュの人達を連れてきて、同じような事をやってますね。
こんな奴らをのさばらして良いのか?
早く、警察は取り締まって頂きたいです。
Aaa (火曜日, 22 8月 2023 13:43)
この学校とうきょうは最悪の学校。