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    東京・新宿区で公契約条例/都内で9例目の制定

     東京都新宿区の区議会が6月21日、全会一致で公契約条例を採択した。都内では9例目となる。これまで区の内規(要綱)で公正入札の確保や労働環境の下支えを行ってきたが、今秋予定される消費増税や、東京五輪後の景気落ち込みに対応するためには、新たなルールが必要だとして条例化にかじを切った。施行は10月。

     条例の対象となるのは、公共工事が予定価格2千万円以上、業務委託、指定管理業務が同1千万円以上となっている。昨年度実績で見ると、工事が60~70件、委託が200~250件、指定管理業務で96件が対象となる。要綱の考え方を引き継いで「区内業者の活用」を明記し、優先発注する姿勢も示している。

     一方、条例の対象となる受注企業の下請け業者で、賃金の下限額を下回る場合に、発注元(受注企業)に対する連帯責任の規定がなく、連合東京は不十分と指摘する。同区はそこまでの規制は難しいと判断したという。

     賃金の下限は、工事関係では国の公共工事設計労務単価を基準とする。要綱での実績は同労務単価の9割と比較的高い。委託については、用務員や学校給食員など区職員俸給表(行政職二)の初任給月額とする。詳細は、学識者と労使の委員でつくる審議会を新たに設置して具体化する。ただ、保育や介護などの職種だと、この下限では間尺に合わず、実効ある水準にできるかが注目される。

     吉住健一区長は昨秋、再選。推薦した連合東京と政策協定を結び、公契約条例制定を公約に盛り込んでいた。同区担当者は「要綱は区と事業者のルールだが、条例にすることでより広く周知できる。労働者の申し立て権も設けた。さらに実効あるルールにできれば」と話す。