全労連は人間らしく暮らせるための費用には、地域間で違いがないことを検証するため、全国19道府県で最低生計費試算調査を実施し、このほど中間報告を公表した。最低生計費は平均で月約23万円必要という結果が出た。調査結果を最賃の引き上げと全国一律制の法改正を迫る根拠として訴えていく構えだ。
調査には、人並みの生活に必要な費用を算出するマーケットバスケット方式を採用した。25歳単身者で賃貸居住の条件の場合、最低生計費は平均で月23万1188円になった。そのために必要な時給は、月150時間労働で1541円、祝日なしで月173・8時間働いた場合でも1330円。現行の最賃と比較すると、月13~15万円不足する。
家賃の低い地域では自動車が必要になることなどから、地域間で生活費の大きな差異は見られなかった。全国で最賃が最も低い鹿児島県(761円)の場合、月額23万7558円(男性)が必要で、最賃額だと月300時間以上働かなければならない(表)。
平均値の中で最も高額なのが食費で、3万7987円。自炊は食品成分表を基に消費単価を算出し、外食にかかる金額と回数の平均値も反映した。調査を監修した静岡県立大学短期大学部の中澤秀一准教授は、「栄養のバランスよく、必要なカロリーを摂取するとこれぐらいの金額になる。人事院が示す標準生計費の食費は約2万5千円。この額では野菜を我慢するなど、相当切り詰めないといけない」と批判した。
全労連の黒澤幸一事務局次長は、最賃が参議院選挙の政治課題になってきたことに触れ「維新の会を除き、与野党から引き上げの公約が出された。立憲民主は5年以内に1300円、共産と社民は全国一律で1500円。市民連合の共通政策も1500円だ。政治課題に据えて前進させたい」と語った。来年春の通常国会では、全国一律制に向けて法改正に取り組むと表明した。
〈写真〉生計費試算調査について説明する静岡県立大学短期大学部の中澤秀一准教授(左、6月24日、都内)
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