厚生労働省は6月19日、解雇の金銭救済(解決)制度に関する検討会を開き、3カ月ぶりに議論を再開した。この日は具体的な解消金の内容をはじめ、制度の全体像について議論を進めた(表)。前回退任した岩村正彦委員(座長)に代わり、山川隆一東京大学大学院教授が新座長に就任した。
同制度は、解雇が地位確認訴訟で無効(不当解雇)となった場合、労働者からの申し出により新たな訴訟などを通じて解消金を確定。使用者が金銭を支払い、労働契約を解消する仕組みだ(図)。不当解雇を誘発するなどの批判は強く、日本労働弁護団は導入反対と議論の中止を求める緊急声明を3月に発表。連合は導入阻止を最重点政策の一つに上げている。
同制度で新設する解消金の内容も議論された。勤続年数などの「過去」と本来就労できたはずの「未来」の2つの要素で構成する案も浮上した。立教大学の神吉知郁子准教授は暴論だと断りつつ「(勤続年数で)過去を評価すれば、大企業で働く中高年正社員の解消金が最も高い。(そうした正社員は)安定的な地位で既に報われてきたとも言える」と指摘した。勤続年数や給与が反映される退職金制度との関係をどう整理するかについても議論が必要とした。
一方、有期雇用の場合、契約のない空白期間を置くこと(クーリング)などで継続雇用を脱法的に回避するケースがあると述べ、「細切れ雇用で働いてきた人が報われないことのないようにすべきだ」と強調した。
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