警察官から違法な取り調べを受けた、東京土建品川支部の中野健太郎さん(配管設備)は、事件(6月4日付隔日版で既報)について「建設業者を狙い撃ちにしたなら、市民を守るべき警察としてあるまじき行為だ」と憤っている。東京都に慰謝料支払いを請求した裁判が6月13日、東京地裁で始まり、支援者への報告の中で語った。
事件は今年2月に起きた。出先での仕事を終えた中野さんが警察官から職務質問を受け、工具箱にマイナスドライバーとガラスクラッシャー、電工ナイフがあったことから軽犯罪法違反とされ、中野署に連行されて取り調べられた。
●被害者は他にも
中野さんによれば、今年5月に組合の集まりで事件を報告したところ、複数の組合員が「私もやられた」と声を上げた。「彼らも工具所持を理由に連行され、肛門の中まで調べられたと聞いた。黙っていたので問題にならなかっただけ」という。
中野さん自身、5月末にも世田谷署の警察官から職務質問を受け、3種類の工具保持が疑われた。この時は、警察官が警視庁に問い合わせて、違法ではないことを確認。事なきを得た。
警察は年に数回、職務質問強化月間を設定し、件数などのノルマを課しているといわれる。中野さんは「点数を稼ぐため、工具を持っている建設業者を狙い撃ちにしているのではないか。サラリーマンと違って検挙しやすいからだろう」と推測する。
その上で「問題なのは、警察官個人の資質よりも、ノルマを課す警察のシステムの方だ」と語った。
次回公判は8月8日。
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