自治労(78万9千人)は5月29日から2日間、東京都内で中央委員会を開き、人勧期の運動方針を確認した。討論では、来春スタートする「会計年度任用職員制度」の整備が遅れている現状が報告され、国に対し財源確保を求める発言が相次いだ。4年間で80万人への回復をめざす第5次組織強化・拡大推進計画の討議案も確認した。
保護法がないため「法の谷間」に置かれているとされる臨時・非常勤職員は来春、「会計年度任用職員」として新たに法律に位置づけられる。スト権や協約締結権などの労働基本権は一般公務員と同じく制約を受ける一方で、一時金などの支給が認められる。
法施行に間に合わせるには、各自治体の仕組みづくりと条例策定が必要だが、進んでいない。財源確保の不透明さが作業を遅らせている。福島嘉人書記長は「自治体間で様子見をしている。採用の準備を考えれば遅くとも9月議会には決めなければならない。6月議会から加速度的に進むのではないか」と話す。
討論でもこの課題に発言が集中した。長崎県本部は「当局から回答が示されない。(県内自治体の)8割が9月議会の上程を予定している。財源措置が最大の問題だ。総務省対策の強化を」と要請し、北海道本部は「妥結はまだ4自治体・5単組。情報量が圧倒的に少ない」として情報提供を求めた。
長野県本部は「学校給食センターの民間委託が強行された際、会計年度任用職員制度の施行による住民負担増を抑制することが理由とされた」と報告し、規制逃れを狙った民間委託に警鐘を鳴らした。複数の県本部からは、国を上回る労働条件で運用している事例について、国から財政上のペナルティーが科されるのではないかとの不安が示された。
仙葉久副委員長は「総務省には再度確認する。非正規労働者の政策は喫緊の課題。財源のあるなしではなく、適正な労働条件を求めていくべき」「6月、9月議会ヤマ場に向け、妥結状況などを情報提供していきたい」と語った。
●単組機能の強化へ
「4年間での80万人自治労の回復」を掲げる第5次組織強化・拡大計画の討議案も確認した。職場活動と単組の活性化、担い手の育成をはじめ、年間5千人の純増、新規採用者対策、会計年度任用職員の拡大、公的病院分野での組織づくり――などを挙げている。
2009年に約90万人だった組織数は、17年には80万人を割り込んだ。財政状況については、組合費引き上げの議論の可能性を示唆している。
前回(15~19年)の組織強化・拡大計画では新規採用者の組織化、非正規労働者10万人の組織化を最重点課題に設定したが、目標とした新規採用者の組織化率7割台には届かず、非正規職員の拡大は1万6千人強にとどまる。
川本淳委員長は「ユニオンショップ協定を持たないのに、なぜ組織を維持できているのかと他産別の役員に驚かれることがある。組合員の声を聞きしっかりした単組の活動をつくること、それが参院選にもつながる」と単組活動の大切さを強調した。
人勧期の闘争では、定年引き上げ実現の取り組みを重視。賃金・一時金の引き上げと併せて、残業の上限規制や縮減など働き方関連法を踏まえた制度整備、会計年度任用職員制度の確立を目指すとしている。
〈写真〉自治労中央委員会では参院選組織内予定候補の当選に向け、30万の獲得目標が提起された(5月30日、都内)
コメントをお書きください