労働者が自ら出資、運営し、働くという協同労働の協同組合に法人格を与える法案の策定作業が進められている。与党を軸とした超党派による議員立法で今国会への提出をめざす。9年前の法案骨子との違いは、働き手が協同組合と労働契約を結ぶこと。日本労働者協同組合連合会の山本幸司副理事長は「労働法は全て適用する」と説明している。
今回の法案骨子は与党政策責任者会議下のワーキングチーム(座長・田村憲久元厚生労働相)がまとめ、協同組合振興研究議員連盟の役員会で確認されたという。名称は「労働者協同組合法案(仮称)」。
前回の法案骨子は労働法制が適用されない設計だったことから、連合など労働団体から「悪用されかねない」との懸念が相次ぎ、法制化に至らなかった経緯がある。
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樋口兼次 (火曜日, 07 4月 2020 08:19)
労働者協同組合法の創設に反対します。その理由は、①現行の企業組合制度は、勤労者も十分利用できる生産協同組合(出資・労働・運営)の制度であり、これを利用できるし現に利用されている。②企業組合は、戦後協同組合運動、引揚者生活再建運動など「生産合作社運動」が中心となった市民運動によりつくられた民主的な制度であること。③労働者協同組合法案は、この企業組合制度とほとんど重複していて、協同組合運動に亀裂、反目を生む。④今回の法案においても、労働団体や労働弁護団等が批判している「低賃金利用の温床の懸念」に応えていない。(労働弁護団の声明)⑤法案が秘密裏に検討され、各種の協同組合や研究者に公開されることなく現下の「コロナ危機」に乗じて拙速に制定されることは許されない。⑥協同組合法制の研究者、関係省庁の協同組合法制との調整を十分に行い、慎重審議を願う。(協同組合学会会員、白鴎大学名誉教授、中小企業研究書前理事長)