カトリックや立正佼成会、創価学会、真言宗など宗派をこえた宗教者と研究者が平和や非核について語り合うシンポジウムが5月18日、都内で開かれた。核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)創始メンバーのティルマン・ラフ氏は「宗教者こそ(核兵器廃絶の)倫理的、道義的リーダーシップをとってほしい。核兵器廃絶は喫緊の問題」と語った。
●被爆体験を語り継ぐ
カトリック正義と平和協議会の勝谷太治会長は、国連核兵器禁止条約採択(2017年7月)をはじめとする、核兵器廃絶への流れを被爆国日本で引き継ぐために企画したと説明。
「平和と核兵器廃絶は戦後日本の国是。今年11月には教皇(ローマ法王)が訪日し、核兵器をめぐる平和のメッセージを発表する予定だ」と報告した。
日本キリスト教団の近藤紘子さんは被爆証言を、金光教の白神亜礼さんは祖父の被爆体験を語り継ぐ活動を紹介した。
●核兵器は絶対悪だ
シンポでは、庭野光祥立正佼成会次代会長が「核抑止論の再検証を求めていく。(抑止論では)核兵器は必要悪だと言われるが、私は絶対悪と考える」。従軍慰安婦問題では「(政府は)もう謝らなくていいと言うが、私は隣人の苦難に人間として共感する。謝り続けていきたい」と述べた。
寺崎広嗣創価学会副会長は「核兵器は人間性を否定するもの」と述べ、「最大の安全保障は戦争をしないこと」という田中熙巳日本被団協代表委員の言葉に共鳴すると強調した。
韓国から参加したチョン・チュジン韓国キリスト教教会協議会委員は、核兵器廃絶に向けて若い世代との対話を提起した。上から目線で一方的に教えるのでなく、多様な意見を尊重する話し合いの場が必要と訴えた。
真言宗御室派棡山(ゆずりざん)明通寺の中嶌哲演住職は「昔は政治的な問題に関わらないようにしていたが、高野山に行った時に平和行進に参加した。被爆者が私の傍らでずっと被爆証言を語ってくれ、その出会いが今の私をつくっている。1968年から26年半、ブッダの教えと原発の恐ろしさを托鉢(たくはつ)で訴えたのが活動の原点」と語った。
〈写真〉シンポでは、平和・非核の世界を実現する上での宗教者の役割を話し合った(5月18日、都内)
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