在日米軍の扱いについて定めている日米地位協定について検証するシンポジウムが5月11日、都内で開かれた。日本弁護士連合会が主催し、約400人が参加した。ドイツやイタリアなどと比べ、日米地位協定には国内法の適用がなく、自国の主権が確保されていない実態があらためて明らかにされた。
●事故の捜査権も自国に
シンポでは、沖縄県と日弁連、琉球新報がそれぞれ行った外国の地位協定調査を踏まえ、話し合った。
沖縄県は今年4月に調査報告書を発表した。ドイツとイタリア、ベルギー、英国を調査している。それによると、4カ国はいずれも駐留米軍などに自国の国内法を適用させており、行政による基地への立ち入り権を確保。訓練や演習についても、騒音や時間帯などを厳しく規制している。航空機事故が起きた場合も、自国に捜査権がある。
●米軍管理の空域はない
ベルギーでは、日本の航空法が米軍機に適用されていないことを紹介すると「駐留軍機を含む外国軍機は、(欧州の)それぞれの国の規制に従わなくてはならない。日本の航空法が在日米軍に適用されないというのは間違っているのではないか」(欧州航空法安全機構)と、当初は信じてもらえなかったという。
さらに同機構は「国際民間航空機関(ICAO)条約に署名した国ならば、空域の有効活用をしなければならず、軍が空域を占有するようなことはあってはならないというのが、基本的な考えだ」と指摘した。
英国民間航空局の担当者も「軍用機も可能な限り民間の航空法に従うのが原則であり、通常の飛行や訓練は民間の規制に従う」。その上で「英国やヨーロッパには、日本の横田空域のように米軍などの外国軍が管理する管制空域はない。日本が所有する空域の使用権を米国が規定するというのは、あってはならないことだ」と述べている。
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