政府のハラスメント法案の審議が行われる中、実効ある規制を求める集会が4月16日、国会内で開かれた。主催は、全労連や全労協、日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)などでつくる雇用共同アクション。ハラスメント(いじめや嫌がらせ)の禁止、二次被害防止策の整備を求める声が相次いだ。
主催者あいさつした全労協の渡辺洋議長は「過労死・過労自殺は単に長時間労働だけが原因ではない。職場のパワハラ(優越的立場を利用した嫌がらせ)やセクハラの問題が必ずくっついている」と、この問題の深刻さを指摘。全労連の岩橋祐治副議長は政府案について「最大の問題は実効性がないこと。ハラスメントそのものを禁止しなければならないという核心が抜け落ちている」と批判した。
政府案(労働施策総合推進法改正など)はパワハラについて事業主に周知・啓発などの防止措置を初めて義務付けるが、禁止規定はない。セクハラについても「理解や関心を深める」という曖昧な規定にとどまっている。
講演した角田由紀子弁護士は「人権侵害という視点が一番大事。政府案はその点を全然考えていない」と指摘した。立憲民主党の大河原雅子衆院議員が、求人応募者やフリーランスを対象に含めたセクハラ禁止などの野党4党案を説明。共産党の倉林明子参院議員は「この国が人権をどう位置づけるかが問われている」と述べた。
〈写真〉ハラスメント禁止規定のない政府案は人権侵害を防ぐ視点が欠けているとの指摘が相次いだ(4月16日、国会)
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