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    映画/「誰がために憲法はある」/渡辺美佐子さんらの活動を記録/原爆朗読劇に込めた思い

     女優・渡辺美佐子(86)さんの戦争体験と原爆朗読劇「夏の雲は忘れない」の活動を合わせて描いたドキュメンタリー映画「誰(た)がために憲法はある」(井上淳一監督)が、4月27日より全国で順次公開される。

     「夏の雲は忘れない」は、1985年から毎年、全国で上演してきた(前身作を含む)。原爆で肉親を亡くした子どもと親の言葉で構成されている。渡辺さんを中心とした出演者たちは、改憲が危ぶまれる今こそ、戦争を語り継ごうと思いを強くしたものの、主催者の高齢化や活動する上での負担増に直面。今年で幕を下ろす決断をした。

     渡辺さんは、原爆で亡くなった初恋の人の存在があったから活動を続けてこられたと語っている。

     映画の中で、日本国憲法を擬人化した「憲法くん」(松元ヒロ原作)を渡辺さんが演じる。「平和のうちに生存する権利を有することを確認する」と憲法前文を語りかけるように暗唱する姿がりりしい。

     

    ●諦めるわけにはいかない/井上淳監督メッセージ

     

     統一地方選挙では自民党が圧勝、大阪の知事・市長入れ替え選挙では大阪維新の会が勝利した。統計不正も、忖度(そんたく)辞任も、何の影響もない。諦めにも似た気持ちになるが、諦めたら負けだ。自分の子どもや孫に、あの時何をやっていたんだと責められないためにも、諦めるわけにはいかない。特に、最後のとりで、憲法では。

     

    〈写真〉(C)「誰がために憲法はある」製作運動体