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    現役の賃下げなしと確信/鉄鋼大手4社の65歳定年制/2021年度実施の方向に

     鉄鋼大手4社(日本製鉄、JFEスチール、神戸製鋼所、日鉄日新製鋼)は定年年齢を65歳とすることで労使が方向性を確認した。4社の労組が加盟する基幹労連が4月4日、記者会見を開いて発表した。具体的な処遇内容は今後、労使間で詰めるが、神田健一委員長は「定年延長に必要な原資は60歳前の現役からではなく、別のところから捻出するということだと受け止めている」と語った。

     鉄鋼大手は18春闘(AP18)で労使の話し合いの場を設置し、定年延長(65歳現役社会の実現)について議論してきた。

     

    ●再雇用制度残さず

     

     その結果、大筋で労組の要求に沿った内容で労使が合意した。厚生年金受給年齢引き上げへの対応という観点に加え、「高技能長期蓄積型産業」として、人材の確保・定着や技術・技能の伝承を図るために必要だとしている。

     2021年度以降に60歳に到達する労働者が対象。入社から65歳までの一貫した雇用形態の下で連続性のある処遇制度を構築することにした。現行の再雇用制度との併存・選択性は取らず、経過措置を経て定年延長に一本化する考えだ。

     60~65歳の処遇改善に必要な原資をどう調達するかが大きな課題だった。基幹労連は、60歳前の賃金を削って回すべきではないとの主張を展開。神田委員長は「経営側は、われわれのこの要求に『NO』とは言っていない。現役の賃金水準を下げることにはならないと受け止めているし、そうでなければ妥結には至らない」と語った。

     今後、制度の詳細を固めるとともに、中堅中小企業での制度導入を促進していく構えである。