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    ゼロ回答に抗議のスト/郵政ユニオン/有期雇用の格差拡大に怒り

     郵政産業労働者ユニオンは賃金交渉が決裂したため、3月19日に全国13拠点25職場でストライキを行い、非正規雇用17人を含む63人が参加した。日本郵政グループは、一部正社員を除き、4年連続でベアゼロ回答。無期転換後の社員にのみ扶養手当を正社員の8割支給することとした(5ページに一覧表)。有期雇用の格差是正を訴え、労働契約法20条裁判を闘う原告らが怒りの声を上げた。

     新東京郵便局(東京都・江東区)の建物から組合員10人が出てくると、スト集会の参加者らは拍手で迎えた。日巻直映委員長は「会社は春闘になると、経営環境が厳しいと言い出し、ゼロ回答を出した。大手町に新しいビルを区分所有し、(内部留保11兆円を抱えるほど)もうけても労働者には一銭も配分しない。許していいものか」と訴えた。

     会社は正社員に支払われている扶養手当を無期転換後のアソシエイト社員に8割支給すると回答。併せて正社員の支給額を5年間の減額経過措置を設けた上で、配偶者分を1万2千円から6千円に引き下げた。

     日巻委員長は「非正規の中に格差を設け、正社員の処遇を下げた」と批判し、国が示した同一労働同一賃金ガイドラインに反する内容だと断じた。

     労契法20条裁判の原告の一人、浅川喜義さんは「会社は裁判で負けているのに、非正規を差別し、いじめるのか。正社員は非正規をいじめていると家族に言えるのか」と怒りをあらわにした。「(約19万人の非正規雇用を抱える)日本郵政グループが変われば、日本も変わる」と訴え、裁判の支援を呼びかけた。

     

    〈解説〉有期の処遇改善進まず

     

     日本郵政グループは回答文書で同一労働同一賃金の法施行と指針に言及し、関係法令や指針などを踏まえて適切な処遇の実現を目指すと言いながら、有期雇用の処遇改善はゼロ回答だ。労契法20条裁判で不合理と認められた有給の夏期・冬期休暇や病気休暇にも応じなかった。

     無期転換後のアソシエイト社員には扶養手当の8割支給を回答し、非正規雇用の処遇改善だと胸を張るが、非正規雇用の中に格差を設けたにすぎない。労契法20条裁判(西日本)で大阪地裁は、有期雇用への扶養手当不支給は不合理と判断したが、大阪高裁は手当の性質を「長期雇用を前提とする基本給の補完」とし、認めなかった経緯がある。

     同一労働同一賃金ガイドラインの正式名称は「短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針」。主な対象は労働契約法20条同様、有期雇用労働者だ。会社がこの問題にどう向き合うかが問われている。

     

    〈写真〉国内最大規模の新東京郵便局では組合員10人がストに参加した(3月19日、都内)

    〈写真〉労契法20条裁判の原告浅川さんは「不法行為を続けるのか」と会社を批判した(3月19日、都内)