最低賃金の全国一律制実現をめざす自民党議員連盟が3月15日、国会内で第3回会合を開き、日本弁護士連合会貧困問題対策本部の委員と懇談した。日弁連の委員らは独自に行った韓国訪問調査の結果を報告。引き上げ幅と失業の関係、中小零細事業への影響などについて質疑を交わした。
前回までと比べマスメディアの取材が約15人と倍以上に増加。同議連の動向には急速に注目が集まっている。
一昨年、最賃を16・4%引き上げた韓国の現状に質問が集まった。失業が増えたのではないかとの指摘に、中村和雄弁護士は「増えたのは事実。(約3千億円の)中小企業支援策で援助制度をつくったが、零細事業者が社会保険加入などの要件を嫌って解雇したという話を聞いている。一方、韓国は景気が良くなく、大企業でも大量の合理化が行われているので、最賃だけが問題ではないとの指摘もある」と説明した。
社会保険料を減免する中小企業支援が保険財政を圧迫するのではないかとの質問も。同弁護士は「一定の財政措置で底上げを行い、最終的には(所得増加により)社会保障への財政支出を削減できるという政策をとっている。ドイツなど各国で近年、最低賃金制度を導入しているのは、年金や生活保護を維持するには最賃を一定水準に引き上げないと将来、制度がもたなくなるという判断がある」と話すと、議員たちはうなずいていた。
衛藤征士郎会長は「大企業は内部留保金が440兆円もある。それを中小企業の下請けに回してほしい。(生産性向上より)最賃を先に上げて中小企業の賃金を押し上げる図式にしないとベースアップはできない」と述べ、中村弁護士も個人的には同じ考えだと述べた。
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