春闘最初のヤマ場(3月13日)の集中回答では、初任給を大幅に引き上げる回答や、要求を上回る回答が見られた。背景にあるのは、中小企業の深刻な人手不足。さらにそのための賃金の底上げ原資も獲得している。
●1万円の引き上げも
UAゼンセンでは3月13日夕刻までに、外食産業系労組の妥結が相次いだ。「餃子の王将」が9500円の要求を上回る1万2677円(定昇相当分込み)を回答。「丸亀製麺」の運営会社トリドールも9294円(ベア3578円)、ミスタードーナツを運営するダスキンは8731円(同1500円)とした。木暮弘書記長は「人材不足が深刻。確保のために会社が必要と判断したのだろう」と述べた。
JAMでは、マキノが高卒初任給を1万円引き上げ、17万5千円とした。安河内賢弘会長は「初任給だけを引き上げると、賃金制度にゆがみが生じるので、かなりの水準の賃上げ原資を獲得しているはず」と話す。賃金構造維持分を明示できる56組合のベア平均は1707円。中小労組でベア4千円以上は4組合、2千円以上は15組合となっている。
電機連合は他の金属製造業と比べて低い初任給を問題視。高卒初任給で、正社員のベアを上回る1500円を引き上げた。野中孝泰委員長は「特に製造現場は人手不足が深刻。何としても引き上げるよう訴えてきた。賃率が変わると補正費用がかかるので会社は大変嫌がるが、引き上げることができた」と笑みを浮かべた。
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