半導体製造装置メーカー、超音波工業(東京都立川市)の労組(JMITU加盟)は3月6日の初回回答で9021円を引き出した。昨年同期を1500円近く上回る。業績回復に加え、17春闘で高卒初任給を一気に1万円引き上げたことが今年の高額回答につながった。
当時の高卒初任給は15万1千円。基本給だけを見れば、東京の最低賃金に追いつかれそうだった。半導体市況の影響で業績が厳しい時期に据え置いたためだ。
定額の手当が付くため、実際には最賃を割ることはない。それでも組合は「最賃に近い基本給は新たな人材を迎えるためにも改善すべき。奨学金返済を抱える若手が安心して働ける賃金に引き上げを」と訴え、経営側も会社の誇りに関わる問題だとして即応した。
初任給を大幅に上げると、若年層の賃金額が見劣りする「中だるみ」が生じる。この改善が2年越しの課題となっていた。
初回回答は昨年同期を大幅に上回る9021円。経営側は「昨年は要求に応えきれなかった」と、賃金のひずみ是正が必要という労組の主張に一定の理解を示した。
しかし、90年代後半と現在の基本給を比べると、高齢層で約2万円低い。その後の社会保険料負担増を考慮すれば、実収入はさらに減る。55歳以上への配分も少ない。
高澤新吾委員長は「『今まで我慢した分を取り返さなければいけない』というのが組合員の受け止め。スト行動の手を緩めるべきではないとの声も出ている。今年は、最低でも5桁は取りたい」。14日には組合員40人強で3時間半の時限スト、残業拒否を展開。さらなる上積みを目指す。
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