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    職種別に賃金下限額定める/千代田区公契約条例/介護職1085円など

     東京都千代田区は公契約条例を見直し、今年4月から特定の職種について、賃金の下限を定める。国家資格が必要な職種や、労働条件が厳しい職種を選んだ。公益・労使で構成する区の契約審議会で、労働側の年来の主張が実った形だ。

     公契約条例は、地方自治体が発注する公共工事や業務委託について、賃金の下限を定める条例。官製ワーキングプア解消、地域経済振興の有効策として期待される。制定自治体は22。賃金条項のない理念条例はさらに多い。

     大企業本社や、行政機構が集中する千代田区では、2013年に施行された。

     同審議会は2月26日、19年度の賃金下限額を答申。業務委託については時給1077円に設定した。東京の最賃(985円)より1割高く、公契約条例の業務委託の下限額としては、都内で最高額だ。

     併せて、新たに6職種の賃金下限額を設定した。警備員の時給1305円と、保全管理員の1762円は、国の公共工事設計労務単価に準じている。清掃員1094円、介護職1085円、栄養士1407円、保健師・看護師1447円と定めた。区職員の賃金表から算出したという。

     職種別の賃金設定の例は千葉県野田市のほか、都内では多摩市にある。介護職や看護師の下限は野田市(指定管理者協定)で設定されているが、全国的には珍しい。

     連合東京の傳田雄二労働局長は「労働者代表委員が以前から強く要望してきた職種別下限額が実現した。その水準も評価できる。特に、外国人労働者の増加が見込まれる介護職で設定した意義は大きい。他自治体にも好影響となるものだ」と評価している。