中堅・中小の金属関連労組でつくるJAMは3月1日、要求状況(2月25日段階)をまとめた。近年重視する個別賃金要求で30歳ポイントの引き上げ幅(ベア)は300人未満の132組合で8361円と、全規模平均の倍近い額となった。一方、768組合の1人当たり平均のベア要求はほぼ昨年並みの4717円。深刻な人材不足の解消と、格差是正を求める現場の強い声が反映しているとみられる。定昇相当分を含めた要求平均は8826円。
個別賃金要求は、目標とする賃金水準への到達を目指す要求方式。JAMは組合員25万人分の実際の賃金データを基に、目標とする水準を定めてきた。
同日段階で個別賃金を要求した組合は前年同期比微増の221単組。1人当たり平均で要求しつつ、現行の賃金水準を明示して引き上げを要求した組合は、同63組合増の395組合となった。
30歳ポイントの引き上げ額を見ると、千人以上の大手組合の引き上げ幅(定期昇給相当分含まず)が4192円、300~千人未満の中堅組合が6940円に対し、300人未満の中小労組は8361円と、顕著に高い額となっている(グラフ)。300人未満で9千円以上の引き上げを求めている組合は35組合に上る。
安河内賢弘会長は「格差を埋めるための取り組みが個別賃金。一歩ずつ進めていく。回答段階でもしっかり結果を出していきたい。そのためにも取引慣行の是正が必要だ」と意義を強調した。
今年は要求状況についてのプレスリリースで30歳、35歳ポイントの個別賃金要求を前面に掲げた。中井寛哉書記長は「523組合の賃金改善分の平均は4717円だが、こういう表示の仕方から脱却し、現行水準をいくら引き上げるかに特化していきたい」と抱負を語った。
〈写真〉個別賃金要求移行への抱負を語る安河内会長(真中、3月1日、都内)
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