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    ハラスメント防止へ集団協定/介護クラフトユニオン/事業者42法人と締結

     UAゼンセン日本介護クラフトユニオンの加盟組合がある42法人で、利用者や家族からのハラスメント(嫌がらせ)防止に関する協定をこのほど締結した。国の対策を待たず、労使で防止の仕組みを整備し、安心して働ける業界づくりへの一歩にしたい考えだ。2月26日に会見し、発表した。

     協定を結んだのは、ケア21や麻生介護サービスなど42法人。呼びかけた法人の8割が賛同した。

     介護従事者への性的要求や性的接触、要求に応じないことへの報復行為、性的言動などのセクハラと、暴力・暴言、契約にないサービス強要などのパワハラが対象。利用者とその家族が加害者のケースを想定している。

     同ユニオンが昨年春行った、組合員ら約2400人のアンケートでは、7割が利用者や家族からハラスメント被害を受けたと回答。女性の3割強がセクハラ被害の経験を訴えていた。

     その内容も「男性利用者に後ろから抱きつかれた」「利用者家族から性的冗談を言われ続けた」「介護サービス中、アダルトビデオを流し続ける」など、介護従事者の安全・安心が守られていない実情が明らかとなった。

     協定は、ハラスメントの知識や性的トラブルへの対処法など教育システムの構築、問題事案に関する事業所内での情報共有、利用者と家族への啓発活動、相談窓口の設置――などを盛り込んでいる。

     

    ●社会への浸透を期待

     

     協定づくりに労組とともに取り組んだ依田平・ケア21社長は「利用者の人権を守るには、従業員の人権も守ってもらわなければならない。自分の名前で協定書に署名、押印する以上、本気でやらなければならない」と発言。柳倫明・麻生介護サービス社長も「夫婦ともに在宅していても女性介護従事者に手を出すケースもある。特に若い女性は精神的に参ってしまい勤労そのものができなくなる」と述べ、人手不足の中で対策は急務と語った。

     同じ内容の協定を集団で締結することにより、対策の必要性を発信する効果も期待される。

     染川朗事務局長は「『介護の仕事とはそういうものだ』とこれまでまともに対応しなかった事業者に問題だと認識させる効果が期待できる。働く側に『仕方ないと諦めるべき問題ではない』との認識を広げたい」。

     

    〈写真〉ケア21の依田平代表取締役社長は、深刻な人手不足の中、介護従事者の待遇改善は喫緊の課題と強調した(2月26日、都内)