京都市が介護保険の認定給付業務に携わっている嘱託員130人全員の雇い止めを提案している。2020年4月以降に、業務を本庁に集約した上で民間企業に委託しようとしているためだ。京都市職労などは「市民サービスを後退させるもの。雇用主責任の放棄は許されない」と批判。方針の撤回を求めている。
嘱託員は、介護保険の要介護度認定と給付に関わる調査や資料作成、各区役所での窓口対応などを行っている。ベテランも多い。
市職労は「民間委託によって認定業務などで迅速な対応が困難になり、区役所での相談が脆弱(ぜいじゃく)になる」と指摘する。昨年民間委託された名古屋市では認定までに2~3カ月かかるようになったという。
●白紙撤回求め署名推進
1月の緊急市民集会では「方針の白紙撤回を」と怒りの声が上がった。
京都市のケアマネジャーは「今でも申請から認定までに1カ月かかる。これが2~3カ月もかかるなら、住宅改修を含めてケアプランがつくれない」。開業医も「(介護度認定を行う)審査会では、専門知識があって経験を積んだ嘱託員による正確な資料作成と的確な説明が行われている。委託でこうした機能の後退が危惧される」と語った。
雇い止めを提案された嘱託員は「これまで積み重ねてきた業績と誇りを踏みにじる提案だ。自治体がブラック企業さながらに、長年便利使いしてきた私たち非正規職員を突然雇い止めするのは、どう考えても納得できない」と憤った。
住民に問題点を広く訴えようと、「雇い止めごめん!市は介護に責任を持て!市民の会」も発足。集約委託化方針の撤回と雇い止め中止を求める署名を進めている。
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