2019春闘では企業内最低賃金の引き上げも重視される課題だ。底上げによる人材確保、地域別最賃に迫られる特定(産別)最賃の引き上げを展望する。中には正社員を上回る上げ幅を要求する産別もある。
金属労協は月額16万4千円以上、引き上げ額は2千円以上とし、加盟産別はこれに準じた要求を設定している。企業内最賃は、業種ごとに規制する特定最賃の改定・新設の要件となっている。年3%のペースで上昇する地域別最賃への優位性を確保するためには、締結組合の拡大、水準の引き上げが必要。連合とともに取り組みの強化を呼びかけている。
中でも電機連合は初めて正社員の賃金改善(ベア)の上げ幅を上回る要求をする。18歳見合いで4千円以上、月額16万6千円、初任給でも同額を引き上げ、16万7500円以上を求める方針だ。「他産業と比較して大幅に見劣りする実態と、人手不足の情勢の中で電機産業としての人材確保を目指すことが目的」と野中孝泰委員長は強調する。
化学・エネルギー関連の労組でつくるJEC連合は今年初めて、全組合員が必ず到達すべきミニマム基準を設けた。企業内最賃の取り組みを強める連合方針を踏まえたもの。基準内賃金で月額16万円以上とし、非正規労働者についても時給1067円以上とするよう、協定化を視野に取り組むとした。
●構内最賃、特定最賃へ
出版労連は1500円を基準に要求する。16春闘から産業の状況、生計費などを踏まえて基準を引き上げている。締結組合数は約半数に当たる約40組合で、うち、1500円台の締結は4組合(最高額は1571円)。
民放労連も初任給と企業内最賃要求の位置づけを強める。近年、経営側がベアゼロを漫然と続けてきた結果、他産業との比較優位が縮小していると指摘。人材確保の有効手段として締結組合の拡大を訴える。昨年の年末闘争では、テレビ東京労組が1100円で在京キー局として初めて締結した。斉田公生書記長は「放送局の構内最賃や産別最賃に踏み込んでいけるか考えている」と話す。
看護職などの特定最賃新設をめざす医労連は、看護師で1800円以上の最賃協定を掲げる。
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