スペインで1月23日、ライドシェア関連のウーバーと地場のキャビファイがバルセロナ市から撤退すると発表した。同市を含むカタロニア州政府が、ライドシェアの規制強化を明確に打ち出したためだ。アプリ予約から配車まで一定の時間を空けることを義務付けた新条例が近く制定される。
州側は当初、この間隔を15分と定めたが、タクシー事業者は「不十分」と反対し、ライドシェア2社も「死活問題につながる」と反発していた。18日からは、バルセロナでタクシー運転手が無期限の抗議ストに突入し、マドリードなどにも飛び火していた。
このため州政府は、各市が最長で60分までこの間隔を延ばすことができると、条例案を修正。バルセロナ市長はさっそく、同市では60分の間隔を設けると表明した。
スペインでライドシェアは、VTCと呼ばれるハイヤーとして登録されているが、そのVTC協会は今回の措置につき、「カタロニア州からVTCを消滅させ、3千人の雇用を奪うもの」と強い危機感を表している。タクシー協会(労組)は勝利宣言を発し、ストを解除した。
スペインでは昨夏、タクシー労働者が全国ストを打ち、各自治体がライドシェアを独自に規制できる権限などを政府から勝ち取っている。その先陣を切って今回、カタロニア州が新法制定に大きく動いた。
欧州連合の最高裁判所にあたる欧州司法裁判所は2年前、「ウーバーはテクノロジー会社ではなく運輸業」という判決を下している。その原告もバルセロナのタクシー協会だった。(国際運輸労連内陸運輸部会長 浦田誠)
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