連合は1月15日、都内で税制セミナーを開き、今年10月に予定されている消費税率引き上げの確実な実施を求めた。軽減税率については撤回すべきとの姿勢だ。
連合で政策委員長を務める野田三七生副会長(情報労連委員長)は政府の税制改正案を批判し、消費税10%への引き上げは「社会保障の持続可能性を確保して将来世代への責任を先送りしないため、確実に実施することが必要だ」と指摘した。その上で「いわゆる軽減税率については税率引き上げの本来の目的からして妥当かどうか、強い問題意識を持っている。国会での徹底審議を求める」と述べた。
川島千裕総合政策局長は「低所得層に対しては軽減税率ではなく、給付付き税額控除で対応するべき。消費税率引き上げの本来の目的に立ち返るべきだ」と訴えた。
BNPパリバ証券の河野龍太郎経済調査本部長も講演の中で軽減税率について「低所得者対策にならない。導入した国はみな後悔している。簡素な現金給付のほうが効果的であり、今からも軽減税率は撤回したほうがいい」と強調した。
今後の税と社会保障のあり方については、就職氷河期世代で困窮している人が少なくない状況を念頭に「全世代型の社会保障制度が必要だ」と力説した。
〈写真〉野田副会長は「社会全体でどう負担を分かち合っていくのか、税制全体のグランドデザインが必要」と述べた(1月15日、都内で)