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    要求方式は個別と平均併用で/自動車総連中央委/統一の賃上げ要求額掲げず

     自動車総連(約78万人)は1月10日、横浜市内で中央委員会を開き、今年の春闘方針を決めた。方針は賃金の「絶対額重視」を打ち出し、あるべき賃金水準への到達を求める個別賃金要求と、上げ幅を求める従来の平均賃金要求の二つの方式を提示した。統一的な賃上げ要求額は掲げず、要求額や要求方法は各企業グループ労連に委ねることとなる。

     個別賃金へのシフトを強める方針。担当者は「中小労組がいかに実を取れるか」との狙いを繰り返し強調する。業界内での自社の賃金水準を労使が確認し、格差是正につなげたい考えだ。

     高倉明会長は「底上げと、格差是正を有効に進めるには、上げ幅中心の共闘では限界がある。目指すべき賃金水準に向けた要求の組み立ての方が労使の議論をより充実させることにもつながる」とし、積極的な挑戦を呼びかけた。

     その目標基準として、従来の「中堅技能職」(35歳相当)に、新たに「若手技能職」(30歳相当)の賃金水準を設定した(表)。金額は加盟組合のデータを元に算出。それぞれミニマム、スタンダード、目標、プレミアなど5段階を提示している。若手技能職を設けたのは複数のポイントを設定することで「点から線へ」と賃金カーブを描けるようにする配慮である。

     一方、従来の平均賃金要求方式を選ぶ組合には、賃金カーブ維持分(定期昇給相当分)と賃金改善(ベア分)の合計を強く意識し、中小と、比較的定昇が高い大手との格差が分かるようにするとともに、目標基準を意識した取り組みを求めている。完成車メーカー組合はグループ子会社の支援を行う。

     要求方式を変えるのは容易ではなく、「一歩ずつ移行を目指す」(同会長)という。

     論議では、「今年の方針では具体的な(ベアの)金額は提示されていないが、主体的な取り組みを進め、今年も(完成車)メーカー労組を超える要求を検討している」(ダイハツ部品関連)などの決意表明が複数あり、本部からは部品部門でのあるべき賃金水準の検討も議論しているとの答弁があった。