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    インタビュー/第三極として労働運動に尽力/全労協 渡辺洋議長

     ――全労協の今年の重点課題は何ですか?

     何といっても、第一は高プロ制(高度プロフェッショナル制度)への対応です。職場に入れさせてはならない。電通社員だった高橋まつりさんが長時間労働などの末に自殺した事件は、とてもショックでした。ひとごとではない。労働組合としてこの問題にどうコミットしていくかが問われています。

     「働き方改革」との関係では、長時間労働をどう是正するかです。一応、残業時間に上限が設定されますが、これでさえ守らせるには組合の役割が重要。上限時間で社員を帰したことにして、サービス残業を強いるという違法行為が懸念されます。そうした事態を許してはいけない。

     

    ●改憲阻止へ共闘を

     

     ――第二、第三の課題はなんでしょう?

     外国人労働者への対応と安倍首相による改憲の阻止です。

     昨年の臨時国会で、問題の多い入管法改正が強行されました。私たちの傘下には、外国人労働者から相談を受けたり、組合を結成したりして権利擁護に努めている組合や活動家がいます。全労協の大会やメーデーでは当事者が発言をしています。彼ら彼女らが現実に置かれている劣悪な環境を是正していく取り組みに力を入れたい。

     改憲阻止の課題では、9条だけが狙われているわけではありません。2012年の自民党改憲草案は、13条(個人の尊重)や25条(生存権保障)をはじめ全面的に国や社会のありようを変えてしまおうとしています。この流れにあらがっていくこと。労働界に改憲阻止の共闘を呼びかけたい。

     

    ●多くの労組と力合わせ

     

     ――全労協は連合や全労連に行かない・行けない組合の受け皿として発足し、国鉄闘争を旗印にしていたと理解しています。今、全労協が存在することの意味をどう考えていますか?

     連合と全労連の関係はうまくいっているとはいえない。私たちの傘下には、二つのナショナルセンターにそれぞれ加盟している組合もあります。両センターと関わりながら、全体として労働運動が世の中に影響力を持てるよう力を尽くしたい。第三極としての役割は健在だし、必要だと思います。

     日本全体で組織されている労働者はわずか17%。その中でさえ、新聞労連や航空連、全港湾など中立系の労組が少なくありません。そうした人々を含めてどう力を合わせていけるのかを考えたい。共闘を考えるとき、私たち自身についても「正しいことを言っているのだから、俺についてこい」という傲慢(ごうまん)な姿勢があるとすれば、反省しなければならない。

     

    ●組合は人間関係が大事

     

     ――労働運動との出会いは?

     大学では衛生工学を専攻しました。公害問題などに取り組んだ宇井純さん、中西準子さん(共に当時は東京大学工学部助手)らに共鳴し、市民運動とともに歩む研究者に憧れました。

     卒業後は東京都の水道局に就職しました。職場には東京水道労働組合という組合があり、当初はあまりいい印象を持っていませんでした。でも営業所に配属され、いろんな悩みを抱えていたときに、相談に乗ってくれたのが組合でした。やはり組合への入り口は人間関係ですかね。職場の合併に伴ってパワハラや労災問題が起きたときには、働く者が主体的に取り組む必要を痛感。東水労の支部書記長を経て、40歳を過ぎて本部に出てきました。

     ――趣味は?

     音楽です。学生時代からカントリー&ウェスタン(ブルーグラス)のバンドで演奏していました。担当はギター。レコーディングしないかと誘われたこともありましたけど、断っちゃった。当時のメンバーとは最近まで一緒に演奏していました。今はちょっと忙しくて、ね。