連合は12月20日の中央執行委員会で、2019年最低賃金取り組み方針を確認した。地域別最賃C、Dランクの低位県の底上げが「喫緊の課題」とし、早急に800円以下をなくし、千円以上をめざすとしている。業種ごとにつくる特定最賃への連合本部の関与を強めるとともに、特定最賃改定・新設の根拠となる企業内最賃協定拡充に向けた春闘期の取り組みを促している。
地域別最賃について方針は「地域間格差が、隣県や都市部への働き手流出の一因となっており、とりわけC・Dランクの底上げが喫緊の課題」と、例年以上に底上げを強調。その上で、2020年までに時給800円以下の地域(現在19県)をなくすとともに、最賃の最高額と最低額との格差改善に努める。
大都市部の都府県で目前に迫る時給千円は「生活できる水準をクリアするための通過点に過ぎない。いわゆるワーキングプアと呼ばれる水準」との考え方を示しつつ、未達の都道府県については当面1000円以上をめざすとしている。
2016年以降盛り込まれた「欧米並みの水準まで早期に引き上げるべき」との文言は今回、「欧米並みの水準も意識しつつ、当面めざすべき水準を重視した議論が必要」とやや慎重な書きぶりとなった。担当者は「欧米並みの水準をどう捉えるか。トップランナー(東京や神奈川など)は千円超の水準を狙える。そこを超えるあり方については今後検討をしていきたい。欧米並みの水準とするかどうかも検討したい」と語った。
●春闘で取り組みを
地域別最賃の上昇により存続の危機にひんしている特定最賃について、連合の関与をより強める内容となっている。
方針は特定最賃を維持・強化する観点から、産別、地方連合会、連合本部が一層の連携強化を図るとした。特に近年、特定最賃が地域別最賃に追い越され、改定できないケースが生じている要因に、改定の申し出の際に添付する企業内最賃協定の水準の低さがあると指摘。この点を克服するためにも、最賃協定の新規締結、水準引き上げ、適用労働者の拡大が急務だと強調している。
最賃方針の策定は従来1月だったが、1カ月前倒しした。春闘期の取り組みにしっかり反映させるための措置である。
※欧米の最賃水準 英国7・5ポンド(1102円)、ドイツ8・84ユーロ(1149円)、フランス9・88ユーロ(1284円)、米国は連邦最賃7・25ドル(797円)。ワシントン州11・5ドル(1265円)など州、市の設定もある。労働政策研究・研修機構「国際労働比較2017」より。
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