自動車メーカーや部品、販売などの労組でつくる自動車総連(約78万人)は12月13日、2019春闘で統一のベア要求基準を明示しない方針案を確認した。連合方針と同様、目指すべき水準への到達を重視する個別賃金方式に軸足を移すという。方針は1月10日の中央委員会で正式に決める。
●「容認はしていない」
自動車総連がベア要求基準を示さないのは14春闘以来。当時は連合や金属労協がベア要求を復活させた年で、同総連は統一のベア要求基準は明示しなかったものの、「賃金改善に(産別)全体で取り組む」と、共闘を強めていた。
19春闘の方針案は、5年ぶりに統一のベア要求基準を掲げず、参考値として18闘争の要求平均実績の約7500円(うち改善分は3413円)を例示した。賃金については「『上げ幅』だけでなく、『めざす賃金水準』を強く意識する『絶対額を重視した取り組み』をこれまで以上に進める」とし、若手と中堅の技能職についてそれぞれ五つの賃金水準の指標を示した。要求の方法、金額・水準の設定は、単組や、メーカー労組を頂点とする企業グループ労連に委ねる。
金子晃浩事務局長は「現状とのギャップをどう埋めるのか、説得力を増すための根拠をつくり、必要な原資を求めていく。1100組合が意思を持った(要求額の)数字とすることに力点を置いた」と格差是正の狙いを強調する。
18春闘でトヨタが回答内容を非公表にして社会的責任が問われたことと、今回の方針転換との関連については否定した。産別として容認したのかとの報道陣からの問いには「上部団体としては事実として受け入れるだけ。容認はしていない」と説明した。
コメントをお書きください