ユニオンみえ(全国ユニオン加盟)が12月3日に会見し、シャープの亀山工場(三重県)で2月以降、約3千人の外国人労働者が雇い止めされていたことが分かったと発表した。神部紅書記次長は「労働者をまるで材料のように扱っている」として、シャープに大量雇い止めへの社会的責任があると訴えた。同社に労働者を送り出していた派遣会社の職安法44条(労働者供給事業の禁止)違反や劣悪な労働環境も告発した。
●派遣会社8社を告訴
ユニオンみえによると、派遣会社は母国語での十分な説明もないまま1~2カ月ごとに雇い止めし、同じグループ内の派遣会社に移すなど不安定な雇用を強いていた。社会保険を適用させないためとみられる。
シャープは米アップル社のアイフォーン部品を生産するために派遣会社を使い、外国人労働者を集めてきた。今年2月、親会社のホンハイ(鴻海精密工業)による生産の海外移転で、当初の半年で約2千人が雇い止めに遭い、現時点では3千人に及ぶという。
ユニオンは11月、労基法違反や職業安定法違反があったとしてシャープの下請け派遣会社など8社を三重労働局に告訴した。
工場で働いていた外国人労働者らは「安定した仕事があると言われたから来た。雇い止めは最悪の経験」「けがをして労災を申し出たら辞めろと言われた」と話した。
●実態は雇用の調整弁
雇い止めされた外国人労働者の多くは、シャープの2次・3次下請けの派遣会社に雇用された日系人だった。日本では3世までの日系人やその配偶者は定住可能な在留資格が得られ、就労も自由。組合は「雇用の調整弁として使われている状況が浮き彫りになった」と指摘している。
雇い止めについてシャープ本社は「派遣会社の問題」とコメントしている。会見に参加した全国ユニオンの鈴木剛会長は「シャープは都合よく人を使うのではなく、外国人労働者を直雇用すべきだ」と述べた。
ユニオンみえの広岡法浄書記長は「技能実習生や留学生と比べてある程度保護されている日系人でさえ、こうした仕打ちを受ける。技能実習制度を残しながら新たな在留資格をつくる入管法改正案が成立すれば、さらに人権侵害が起きることは目に見えている」と述べた。
〈写真〉神部書記次長は「抗議活動をしていると、派遣会社の社員が妨害にやってくる」と話した(12月3日、都内で)
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