中堅中小の金属関係労組でつくるJAMは12月3~4日、滋賀県内で春闘討論集会を開いた。高卒直入者の所定内賃金で「30歳・27万円」「35歳・31万円」への到達を全ての労組が目指すべき基準とし、上げ幅では昨年同様1万500円以上を要求基準とする春闘方針大綱を提起した。安河内賢弘会長は「個別賃金要求をさらに広げて春闘を力強くたたかおう」と語った。
JAMは組合員24万人の賃金データを基に、上位25%の額を全組合が到達すべき所定内賃金の水準に設定してきた。今回は、実態値が上昇したことから、金額を引き上げた。併せて、下位25%の額を「一人前ミニマム」として、賃金水準の低い地場中小労組の当面到達すべき水準とし、「30歳・24万円」「35歳・27万円」など、50歳まで5歳刻みで設定している。
個別賃金要求は、自社の賃金実態を把握し、あるべき賃金水準への到達を目指す取り組み。大手労組の回答を踏み台にしながら、人材の確保・定着を図れる水準に近づくために、どれだけ上積みできるかという交渉になる。
安河内会長は「5年連続のベア要求で大手労組は一定の成果を上げてきたが、実質賃金の低下が続いている以上、いまだ十分とはいえない」と指摘。「労働者の7割を占める中小企業の賃上げが極めて重要。中小労働運動は大手労組の理解がなければ一歩も進まない」と述べ、中小企業労組に個別賃金要求への挑戦を呼びかけた。
●「毎年値引き」に悲鳴
政策課題では、取引条件の改善や、適正価格の実現に向け(下げられた単価などの)値戻しを取引先に要請するよう自社に求める「価値を認め合う社会へ」の取り組みを、3年目となる2019年も行う。18年は425組合が自社に要請し、実際に64社がこれに応え、その一部で取引条件の見直しにつなげたという。
討論では「自動車部品関連では新たな開発を行っているのに、毎年のように(発注元から)値引きをさせられている。自分たちが生み出した付加価値はどこに消えているのか。深刻な人手不足にも対応できない。『価値を認め合う社会へ』のキャンペーンを広く社会に行ってほしい」(山口・九州ブロック)との要望が読み上げられ、高尾伸労働政策委員長は「社会全体にアプローチすべき課題だ」と応じた。
方針は1月の中央委員会で決定する。
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