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    DVD/「最後の一滴まで」/水道事業の民営化問題/欧州の隠された水戦争を描く

     ドキュメンタリー映画「最後の一滴まで―ヨーロッパの隠された水戦争」(ヨルゴス・アブゲロプロス監督、ギリシャ)の日本語版DVDがこのほど完成した。水道の民営化をめぐる企業と住民との攻防を描き、水道の管理運営を企業に委ねることの危険性を訴えている。日本でも同様の民営化の動きが進んでおり、日本語版を作成した市民グループ、アジア太平洋資料センター(PARC)は「水道法改正案の行方にかかわらず、自治体と住民がどうすべきかを考える参考にしてほしい」と訴えている。

     映画は、水道事業を民間企業に委ねる動きが今、再考すべき段階に来ていると強調する。フランスのパリ市やドイツのベルリン市が再公営化に踏み切るなど、民間での事業運営が多くの自治体で破綻しているためだ。パリでは水道料金が1985年からの23年間で約2・7倍に高騰。資金の不正な流れも明らかになったという。ベルリン市では市の債務が増えたばかりか、赤字は全て住民に転嫁されるという契約内容が大きな問題となり、住民投票を経て再公営化された。

     一方、ポルトガルやギリシャ、アイルランド、イタリアなどでは、住民と水関係企業との攻防が続いている。アイルランドのダブリン市で2014年11月に行われた20万人デモの様子も描かれている。「これは水という名の民主化運動だ」と語った住民の言葉が印象的だ。

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     DVDは3千円プラス税/59分/日本語字幕と吹き替えの2種類がある。上映会を開催する場合は、DVD代金に加えて上映料(1万円プラス税)が必要。申し込みはPARCまで(03・5209・3455)