全労連は11月16日、「外国人労働者の受け入れ拡大政策に対する要求と方針」を発表した。在留資格を新設する入管法改正案の臨時国会での成立に反対を表明。問題の多い外国人技能実習制度の廃止も掲げた。人権擁護の観点から議論を尽くすよう呼び掛けているのが特徴だ。
方針は、外国人技能実習制度の下での労働基準法違反や待遇差別の横行を許したまま、新しい在留資格制度を創設すれば、搾取構造が強まると指摘。国民的コンセンサスを欠いた拙速な法改正は乱暴だと批判し、外国人労働者の人権の尊重を第一に掲げた。
●技能実習制度は不要
具体的な施策として(1)外国人技能実習制度の早期廃止(2)留学枠組みでの外国人労働者の来日と、留学生の過度な労働(資格外活動)の禁止(3)就労をあっせんするブローカーの介在を禁止し、送り出し国との二国間協定の締結(4)職業紹介をハローワークが行い、在留資格と同じ職種での転職の自由を保障(5)受け入れ企業に生活環境の保障と労働条件の確保を義務付け――を挙げた。
伊藤圭一雇用・労働法制局長は会見で「外国人技能実習制度では人権侵害が起きており、このまま門戸開放はありえない」と述べた。
愛知県労働組合総連合の榑松佐一議長は、外国人技能実習生の置かれた劣悪な労働環境と人権侵害の実態を報告した。家賃や水道代を実費よりも多く請求する「ピンハネ」、残業代未払いが多発。建設業では、実習生が社長にショベルカーで襲われ、肩を骨折する暴力事件もあったという。「今年半年間の失踪者の内訳は建設業が4割に上る。失踪理由を分析しなければ、新たな制度は禍根を残す」と訴えた。
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