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    沖縄レポート/予想通りの「いばらの道」/基地問題に挑む玉城知事

     玉城デニー氏が沖縄県知事に就任した10月4日から約2カ月。本人が当選の弁で述べていた通り「いばらの道」が続いている。その険しさは、甘い予想を許さなかった。

     

    ●対話による解決こそ

     

     10月17日、沖縄防衛局が石井啓一国土交通相に行政不服審査法に基づく審査を請求した。新基地建設に伴う名護市辺野古での埋め立て承認を「撤回」した県の措置に対し、効力停止を申し立てたのだ。「効力停止」とは裁判の仮処分と同じで、認められれば審査結果が出る前に工事再開ができる。防衛省と国交省という政府内部の茶番だが、3年前にも強い批判の中で同じことが行われた。案の定、石井国土交通相は2週間後に効力を停止し、11月1日に工事が再開された。

     再び海上フェンスが張られ、土砂投入の準備が進む。ゲートからの資材搬入も始まった。ゲート前と海上での抗議行動が再開され、機動隊や海上保安庁による一時的身柄拘束が連日続く。

     玉城新知事は就任早々に訪米して米政府や議会関係者に会うなど、精力的に国際世論への訴えを始めた。「対話による解決」は選挙の段階から強調していた。県と政府の集中協議も始まっているが、政府は工事中断の要求をあっさり蹴り、工事を続行しながらの協議となっている。知事は総務省の国地方係争処理委員会への申請手続きを進めつつ、粘り強く対話を続ける姿勢だ。予断を許さない状況が続く。

     

    ●抑止力幻想を超えて

     

     沖縄の基地問題は米軍だけではない。米軍の下請けである自衛隊基地が、日本最西端の与那国島に続き、宮古島でも着々と工事が進んでいる。石垣島では計画地周辺住民が強く反対しているが、市長と市議会与党は容認姿勢である。どこも、国策の押し付けで地域が分断される構図だ。

     11月10、11の両日、私は着工から1年になろうとしている宮古島市上野野原の陸上自衛隊のミサイル基地建設現場を訪ねた。ゴルフ場だった場所は想像以上に広大で、林立するクレーンの下に高層の建物がいくつも建ち上がっていた。いまやリゾート施設の建設ラッシュの宮古島だが、自衛隊の島という顔も見せつつある。

     基地建設で政府の強硬姿勢を後押ししているのは、大多数の国民の鈍感、無関心であることは間違いない。一方で、沖縄の中でも分断が深まる。2月に実施予定の県民投票の行方に注目したい。基地が「抑止力」であるなら、当然標的にもなる。「抑止力幻想」を乗り越えるのかどうか、県民の意思が改めて試されることになる。(ジャーナリスト 米倉外昭)

     

    〈写真〉700~800人の部隊が配置される基地の建物群は想像以上に規模が大きい(11月11日、宮古島市上野野原)

    〈写真〉広大な敷地に建設が進む自衛隊基地建設現場に林立するクレーン(11月10日、宮古島市上野野原)