移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)は11月21日、国会内で緊急集会を開き、約200人が参加した。政府が進める入管法改正の議論は拙速だと批判。外国人技能実習制度の廃止と包括的な移民政策の策定を求めた。
移住連の鳥井一平代表理事は「移民政策を取るか、取らないかというのはナンセンス。移民は既に日本に存在する。まっとうな移民政策を求めるチャンスだ」と強調。入管法改正の進め方については「技能実習制度を拡大する政策。この延長線上で議論すれば、ゆがんだ政策になる。場当たり的な受け入れでは労働法規、民主主義が崩れてしまう」と危機感を示した。
外国人技能実習生問題弁護士連絡会共同代表の指宿昭一弁護士は、法改正による新たな受け入れ制度には(1)職場移転の不自由さ(2)民間団体の関与と中間搾取(3)家族帯同不可(4)永住権要件の厳格化(5)不明瞭な支援体制――など外国人技能実習制度と酷似した問題があると指摘した。
「定住したい労働者もいれば、長く受け入れたい企業も出てくる。技能実習制度の負の歴史を認識し、過ちを繰り返さないという視点から、多文化共生の議論をすべき」と述べた。
自由人権協会の旗手明理事は「妊娠が発覚したベトナム人女性の実習生が、堕胎するか帰国するかを迫られ、シェルターに駆け込んできた」と現在起きている人権侵害を訴えた。
その上で、技能実習制度の問題を抜きにして、法改正は語れないということが共通認識になってきたとし「技能移転が目的で帰国するはずの技能実習制度が新制度の供給源になりかねない。このまま新制度を推進することは許されない」と述べ、技能実習制度の廃止を求めた。
●聴取票の開示請求を
法務省が「失踪技能実習生の現状」についての調査結果(聴取票)の閲覧を制限している問題で、移住連は情報開示請求を行うよう、市民に呼び掛けている。
この問題では、失踪理由の「低賃金」を「より高い賃金を求めて」に改ざんしたことが発覚。併せて回答者の約9割に当たる2552人が、送り出し機関へ支払う資金を「借入」で調達したことも明らかになり、借金返済のため、物を言えずに働かなければならない実態が裏付けられた。
〈写真〉技能実習制度の問題点を指摘する指宿弁護士(11月21日、都内で)
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