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    前年上回る「月2万5千円以上」/国民春闘共闘が要求案/最賃闘争と一体の取り組みで

     全労連と純中立労組でつくる国民春闘共闘委員会は11月21、22の両日、静岡県内で2019年春闘討論集会を開き、前年を上回る月2万5千円以上の要求案を提示した。最低賃金闘争と一体的な賃金闘争、36協定の見直し、安倍改憲阻止の取り組みを提起している。方針は年明けに確定する。

     小田川義和代表(全労連議長)は日産のカルロス・ゴーン会長の逮捕報道に触れ「怒りを覚えるのは、労働者の生き血を吸う経営(99年のリストラなど)の一方で、自らは高額報酬を受け取り、所得隠しと企業財産の私物化を行っていたモラルハザードだ。大企業本位の政治の劣化とゆがみに対し、仲間の怒りに火を付け、労働者が闘うことの必要性を確認し合い、春闘活性化につなげよう」と呼びかけた。

     安倍政権が来年、改憲の発議を目指していることに警戒を促し、「2019闘争は18闘争と少し異なる。政治を積極的に語る19春闘に」と述べた。

     要求額は、安倍政権下の6年間で低下した実質賃金5%分と、定期昇給相当分2%分を加えた7%程度を金額換算した。賃上げへの期待の高まりや、生活が改善されていないことから、前年(2万円)を上回る額とした。底上げ要求は昨年同様「時給1000円未満の人をなくす」。

     

    ●一人一行動を提起

     

     方針討議案は「一組合員一行動」を掲げ、組合員の行動参加を重視。集中回答翌日のストと職場集会には50万人の参加を目指す。持続可能な地域経済実現を訴え、大幅賃上げのための世論づくりを図る「地域総行動」には単産・単組からの参加を促す。

     討議案は、最賃闘争と一体的な賃金闘争を提起しているのが特徴。初任給が最賃に迫られている職場の増加を踏まえ、最賃引き上げを職場全体の賃金引き上げにつなげる取り組みを呼びかけている。野村幸裕事務局長は「一部の人のためではなく、自らの闘いとして捉えることが重要」と語る。全国一律最賃制度を求める「労使共同宣言」を労使交渉で追求する。

     36協定の点検・見直しにも取り組む。残業を月45時間以内とし、延長を可能とする特別条項は認めない。協定の有効期間を短くすることで実効性を検証し、強化することも提起した。

     

    〈討論〉スト構え要求実現へ

     最賃闘争強化について、時給1500円を検討すべきではないかとの意見や、「『最賃で働かせていいのか』の怒りの声をぶつけていく」(生協労連)など歓迎する意見が相次いだ。

     賃金闘争では医労連が4万円以上の要求を検討していると報告。福祉保育労は賃上げでのスト実施を目指すと述べ、映演労連は「若年層を中心に賃上げへの期待が高まっている。残業しなくても暮らせる賃金の確保が課題」。JMITUは方針討議案について「職場の闘いを基礎に、ストを軸にした統一闘争の視点が弱い」と述べ、文言の追加を求めた。愛労連はトヨタの社会的責任を追及する行動を名古屋の中心街で行うと表明した。

     長時間労働是正の課題でJMITUが特別報告。長時間残業が常態化していた職場で、36協定の期間を1カ月と短くすることで、使用者の労働時間管理への意識と協定の実効性を高め、上限を大幅に短縮させた実践例を紹介した。

     北海道労連は「より具体的な36協定キャンペーンの検討」を要請、医労連は「12時間の勤務間インターバル規制を要求する。不誠実な回答にはストで迫る」と語った。

     改憲阻止の課題で、映演労連が「憲法問題で産別スト権を確立する」と述べ、生協労連は、3千万署名で署名ゼロの分会をなくす取り組みを報告した。