税理士で元静岡大学教授の湖東京至氏が、来年10月の消費税増税(8%→10%)に伴う低所得層対策の一つとして打ち出された、飲食料品などへの軽減税率(8%の据え置き)適用を批判している。「対象商品の価格は必ず上がる。消費者の負担軽減にはならない」と指摘。増税の中止こそ必要だと訴えている。
11月17日には「一票で変える女たちの会」が都内で開いた学習会で講師を務め、軽減税率適用が消費者の負担軽減にならない理由について説明した。それは(1)「周辺取り引き価格」の上昇(2)店からの持ち帰り品などへの10%分上乗せも合法(3)既に始まっている先取り値上げ――の3点である。
●材料費などは値上げ
周辺取り引き価格とは、例えばペットボトル飲料の場合、ボトルやキャップの費用、輸送費、自動販売機の電気代などを指す。これらは飲食料品ではないため、10%の税率が適用される。
ペットボトル飲料自体は軽減税率の対象だからと販売価格を据え置けば、店はこれら周辺取り引き価格の上昇分を転嫁できず、自己負担することに。損害を避けるには値上げせざるを得ないのだという。
●持ち帰っても10%?
「店で食べれば外食だから10%。買って持ち帰れば食料品扱いで8%」――こうした区別がどこまで可能なのかが、マスコミなどで面白おかしく取り上げられている。
湖東氏も「持ち帰るつもりで買ったが、気が変わって店内で食べることにしたケースは8%なのか10%なのかなど、混乱を招くのは必至」と指摘する。しかし、実際にそうした区別は無意味になるだろうとも予測する。
財務省が「内税化して価格を同じにする」手法を推奨しているためだ。店内で食べても持ち帰っても同じ値段ということ。店は混乱を避けられるし、レシートに「税込み」と表示しておけば消費者は気付きにくいからだ。
実際、ドイツのマクドナルドでは、持ち帰る場合(軽減税率7%)も店内で飲食する場合(19%)も同じ値段で販売されていて、湖東氏は「全く低所得者対策になっていない」と指摘。こうしたことから、欧州連合(EU)では軽減税率など複数の税率を適用するやり方を見直す動きが始まっていることを紹介した。
●先取り値上げの動き
軽減税率対象の商品は来年10月以降、値上げができないことになっている。そのため、既に「先取り値上げ」が始まっているのだという。
湖東氏は昨年11月の日本経済新聞の値上げ(4509円→4900円)をその代表例として挙げた。ほかにもパックご飯や納豆、ヨーグルトなどを列挙。値上げ理由は他にもあるかもしれないが、多くが消費税対策だと見る。
●参院選で野党勝利を
湖東氏は軽減税率を批判した上で、消費者の負担増と中小事業者の経営悪化をもたらす増税の中止を力説した。
来年の参院選では、立憲民主党や共産党などの野党が「税率引き上げ中止」を統一スローガンに掲げて勝利すれば増税阻止は可能だと訴えた。
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中川 美礼 (火曜日, 16 4月 2019 12:40)
インボイス制度も同時に始まると下請け会社に一人親方で勤めている方が多いと思いますが1000万以下の免税で働いていますが、将来免税はなくなりますか。下請け会社は消費税を払っていないと思いますが、また一人親方の方も、もらっていない状況だと思います。税金を請求書に書かない限り免税されないということなので、将来は免税がなくなるということではないでしょうか。