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    変形労働時間制の導入を明記/教員の働き方/答申案には慎重意見も

     文部科学省の中央教育審議会・学校における働き方改革特別部会が11月13日、答申骨子について議論した。骨子案には1年単位の変形労働時間制の導入を明記した。変形労働は教員の長時間労働を助長するとして、反対の声が上がっている。賛成する委員も留意点を挙げ、慎重な姿勢を見せた。

     早稲田大学政治経済学術院の稲継裕昭教授は、変形労働時間制の導入に賛成と明言。その上で「1日の勤務時間を延ばすとしても、最大10時間までで、残業は認めない。夏休みも完全閉庁にする。導入は各自治体の判断」と条件を付けた。

     東京・武蔵野市立第五小学校の嶋田晶子校長は「1日か1週間単位で労働時間を管理すべきだ。小規模校への配慮も不可欠」と述べた。

     学校マネジメントコンサルタントの妹尾昌俊氏は、授業時間数削減も含めた業務量の適正化を強調。変形労働の導入によって長時間労働が抑制されるかは疑問が残るとして、導入済みの私立学校などの調査と分析を再度求めた。

     妹尾氏は、原則として時間外労働を認めず、4%の調整給を払う「給特法」について十分に議論されていないことに強い不満を表明。「私立学校や国立大学付属学校の教員は労基法が適用されているのに、公立だけ給特法を適用して時間外を自発的行為とみなすのは、論理的に無理がある」と述べ、変形制導入案の見直しを訴えた。

     連合の相原康伸事務局長は自発的とみなされている時間外業務を含め、教員の労働時間管理を原則とすべきだと主張した。