元技能実習生が茨城県の農家に対し、未払い賃金などの支払いを訴えていた裁判で、水戸地裁(岡田伸太裁判長)は11月9日、約200万円を支払うよう命じる判決を言い渡した。セクハラなどの請求については棄却した。原告は控訴する方針だ。
元技能実習生の中国人女性は、2013年10月から約1年間、日中は大葉栽培に従事。夕方以降は深夜近くまで大葉を10枚ずつ束ねる作業を行っていた。農家は束ねる作業を技能実習の労働契約とは別の請負業務として、1束当たり2円しか払わなかった。
裁判所は雇用契約上の労働と認め、未払い賃金と付加金の支払いを命じた。大葉を束ねた数から労働時間を算出。原告は1時間150束と主張したが、農家が主張した1時間200束が認められた。そのため、認定された労働時間は短く、未払い賃金は請求額を下回った。農家からのセクハラで技能実習を中止せざるを得なくなったとして、損害賠償と慰謝料も請求したが、棄却された。
指宿昭一弁護士は「(労働を)請負にする手口は他業種にも広がっている。管理団体を含め、誰かが請負の手口を伝授しているのでは」と問題視した。
政府が進める新しい外国人労働者の受け入れ制度については「時給400円で働かされる実態を踏まえて議論しているとは思えない。事件は氷山の一角。まず、実習生制度を廃止し、人権侵害を繰り返さない決意をした上で検討しなければならない」と批判した。
〈写真〉「実習生は権利主張できない状況だ」と訴える指宿弁護士(11月9日、都内)
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