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    雇用を継続するのは不平等?/3年公募の国公法解釈/全労働「人事院通知は曲解」

     ハローワーク(公共職業安定所)などで働く非常勤職員に8年前から適用されている「3年公募」。その実施を求めた人事院の運用通達について、全労働省労組(全労働)はこのほど「国家公務員法の平等取り扱い原則を曲解している」とする見解をまとめ、公表した。人事院に対し従来の姿勢を改め、公募を廃止するよう求めている。

     3年公募は、1週間の勤務時間が常勤職員の4分の3を超え、単年度契約で働く非常勤職員が対象。契約は、2回までは勤務評価などを踏まえて更新されるが、3回目は公募を経なければならない。一般求職者とともに応募し、選考結果次第では雇い止めになることもある。仕事はずっとあるのに3年ごとに雇用不安にさらされるため、精神的に追い詰められてメンタル不調をきたす人が少なくないという。

     全労働は公募廃止を要求してきたが、人事院は運用通知の見解を繰り返し、こう着状態が続いている。「国家公務で働く機会は国民に幅広く平等に与えなければならず、同一人が繰り返し任用更新されることは不平等」というのが、人事院の説明である。

     今回の全労働見解は、人事院通知について「国公法で定める平等取り扱い原則の解釈の誤り」を指摘したのが特徴だ。採用行為における平等取り扱い原則は、人種や信条、性別、社会的身分などによる差別を禁じるのが趣旨であり、既に採用されて働いている職員に対して一律に公募を強いることではないと強調。

     一般求職者に雇用機会を保障するため、実際に働いている人の雇用を脅かすことになっても構わず、それが平等取り扱いなのだという人事院の法解釈は間違いだと告発している。