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    長時間労働解消へ教員増を/民主教育研究所フォーラム/学校の働き方改革を検証

     教育問題の調査・研究に取り組む民主教育研究所は10月27日、文部科学省が進めている「学校における働き方改革」を検証するフォーラムを都内で開いた。文科省は、1年単位の変形労働制導入を目指しており、内外から批判の声が上がっている。

     米田雅幸全教副委員長は、1年単位の変形労働時間制は、授業期間中の労働時間を合法的に延長し、長時間労働を助長すると批判した。「あたかも夏に休みが取れるようなモデルだが、夏季休暇期間に小学校の初任者研修を9日間も行う自治体がある。休暇保証の見込みはない」と述べた。その上で「授業の持ち時間数や教員数を変えずに、変形労働時間制を導入しても長時間労働は解消できない」と訴えた。

     高橋哲埼玉大学准教授は、教員は憲法27、28条の勤労者であり、労働基本権を持つと強調。「団体交渉で当事者の意見を反映し、対等に労働条件を決定する機会が奪われている。教員の権利保障が必要」と指摘した。特定4項目以外の時間外業務は自発的行為と見なす給特法など、教員に関する法律を改正すべきとの考えを示し、教員定数の改善も必要と訴えた。

     加藤健次弁護士は「問題の本質は人員不足。(教員の働き方は)やりがい搾取だ。時間内に仕事を終えないと能力不足という自己責任論も蔓延している」と語った。

     参加した元高校教員は「教員不足は国民も分かっている。今が声を上げるチャンスだ。増員か業務削減しかない。組合の枠を超えて運動を」と発言。高橋准教授は「今ほど(教員の労働条件の改善に)支持がある時期はない。組合が取り組むべき」と呼び掛けた。