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    実労働時間の管理徹底を/連合がシンポジウム/教員の働き方改革を問う

     連合と毎日新聞社の主催で、教員の働き方を問うシンポジウムが10月25日、都内で開かれた。パネル討論には、内田良名古屋大学大学院准教授、尾木直樹法政大学特任教授、相原康伸連合事務局長が登壇。教員の長時間労働解消のためには避けることのできない増員や制度問題について率直な意見を交わした。

     尾木特任教授は自身の教員時代について「残業は週2時間ぐらいで、夏休みは旅行も自己研さんの調査や研究も自由にできた。今とは比較にならない」と振り返った。組合活動の一環で時間外勤務を記録し、翌月の出勤時間で相殺していたという。「全部相殺できたわけではないが、どれだけ働いたか、残業だという意識を持つべき」と述べ、教員の意識や組合活動が大きく後退したのではないかと危惧した。

     長時間労働をいとわない教員の心理に触れ、「(深夜はいかいなど)問題行動を起こす子が立ち直る姿はうれしい。この喜びが大きい分、忙しくなってしまう。こういう職業的な特殊性もある」と語った。その上で「(特殊性の)質を落とさずに増員して負担を軽減する。オランダのように複数担任制で教員を増やせばいい。(国は)本気でお金を出してやるべき」と語気を強めた。

     特定業務以外の時間外勤務は認めず、超勤手当の8時間分にしかならない調整給を払う給特法について「すぐに廃止すべき。(特定業務以外の時間外業務が)自発的というのはおかしい。バカにされていると思わないのか。今は時間外が平均で週20時間もある」と批判。

     内田良准教授は、教員の残業代を試算した場合、全体で9千億円、1人当たり月10万円分の未払いだと指摘した。「給特法によって教員の労働時間の意識と行政のコスト意識が失われた。定額働かせ放題を50年前からやっている。その結果、(残業月80時間の)過労死ラインを越えてしまう」と分析。特定業務以外は教員の自発的行為と見なされることについて「次々と仕事をさせながら、好きで(学校に)残っているというのが、国の考え方。どうしても許せない。せめて働いていることを前提にしてほしい」と訴えた。給特法適用だった国立大学付属学校は独立行政法人に移行後、労基法が適用されている。「公立学校の教員にも労基法を適用すべき。民間の労働者と同じように扱ってほしい」と述べた。

     相原事務局長は「学校では時間を管理、測定する文化が希薄。時間外も観測し、賃金に反映させて払うのが原理原則」と強調し、割増賃金を規定した労基法37条の適用が望ましいとの考えを示した。

     

    ●変形労働導入に否定的

     

     文科省の学校における働き方改革特別部会で導入が議論されている1年単位の変形労働時間制については否定的な意見が出た。内田准教授は「年間で閑散期と繁忙期があるから、調整できる。実際の勤務データをみると、閑散期がなく、導入できない」と指摘した。

     尾木特任教授は「導入されれば、1カ月の労働時間は2倍になり、過労死ラインを越える」と注意を促した。教員の負担になっている部活動顧問の問題では「顧問は任意。(部活で得られるような)子どもが成長する楽しさは授業、学級経営、委員会活動の指導を通じてできる」と強調した。

     参加した教員から、働き方改革のためにどう取り組むべきか尋ねられると、尾木特任教授は「『保育園落ちた』のブログは国会で議論にもなった。現場からどんどん発信を」と答え、ツイッターなどのSNS活用を呼びかけた。