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    医師増員なければ医療崩壊/都内でシンポ/「働き方改革」の課題討論

     国による「医師の働き方改革」によって医療現場はどうなるのかを考えようと10月27日、医療関係者らが都内でシンポジウムを開いた。全国医師ユニオンなどでつくるドクターズ・デモンストレーション実行委員会が主催し、70人が参加。医師の増員と診療報酬拡充を訴える声が相次いだ。

     厚生労働省の検討会は来年3月までに医師の時間外労働の上限設定などを打ち出す予定だが、医師不足への対応など抜本改革のための議論が不十分と指摘されている。

     全国医師ユニオンの植山直人代表は、日本の医師数が経済協力開発機構(OECD)平均より人口当たりで3割程度少ないと指摘。「多くの医師が過労死ラインを越えて働いている。医師不足を放置したまま働き方改革をすれば、医療崩壊につながる」と強調した。

     全国自治体病院協議会の原義人副会長は「医師が大都市に偏在し、地方では不足している。この問題が先送りされたままの働き方改革では、患者サービスの低下など地域医療の崩壊を招く」と語った。

     全日本病院協議会の美原盤副会長は会員病院へのアンケートの結果を報告。「約半数が医師の増員なしには救急体制が維持できないと回答した」と述べた。

     全国保険医団体連合会の竹田智雄理事は「医療の質を落とさずに医師の過酷な勤務環境を改善することが最大の課題。必要医師数の確保と診療報酬の拡充を求めよう」と訴えた。

     

    〈写真〉「医師の増員がなければ医療は崩壊する」と指摘するパネリスト(10月27日、都内で)