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    賃上げと最賃闘争を一体的に/春闘共闘委の19春闘方針素案

     全労連や純中立労組でつくる国民春闘共闘委員会は10月25日、都内で総会を開き、2019年春闘方針の素案を提起した。「経済好循環のための賃上げ」の世論形成を職場と地域で行い、賃上げと最低闘争を一体的に取り組むこととした。

     春闘の回答集中日は3月13日に設定。翌日の統一行動を重視し(1)実質賃金減少分以上の大幅賃上げと最賃千円以上の実現(2)裁量労働制の拡大や解雇の金銭解決、高度プロフェッショナル制度の導入を阻止(3)9条改憲阻止と安保法制の廃止(4)消費税増税反対と社会保障の充実――の4大課題を掲げる。これまで8割近くが1次回答で妥結していたが、職場内で回答についての議論を深め、粘り強く闘うよう呼び掛けている。

     小田川義和代表幹事(全労連議長)は、大企業での労働分配率低下が賃上げ全体の足かせになっていると指摘。個別企業の労使関係による賃上げは重要とした上で、巨額の内部留保を抱える大企業の社会的責任追及と、全国一律最低賃金の実現など地域からの社会的賃金闘争が必要と強調した。

     討論では北海道労連の出口憲次事務局長が、米ハリウッドから始まったセクハラ撲滅を訴える#MeToo運動など、近年の運動が一つの事件から始まり、ネットの発信で共感を広げ、社会を動かしていると指摘。

     「現場の事実はリアルで力強く、共感を呼ぶ。(組合は)職場の矛盾や課題を誰よりも知っている。事実をその職場だけの問題にせず、戦略的なキャンペーンにしていくことが労働組合の役割」と語った。経験を生かしつつ、新たな取り組みも大切と述べ、市民運動の手法の一つ、コミュニティー・オーガナイジングの活用を求めた。

     教員の長時間過重労働について全教の小畑雅子書記長が発言。文部科学省の学校における働き方改革特別部会が導入を検討している1年単位の変形労働時間制について「導入されれば、現在の超過勤務が(所定)時間内になり、拘束時間を増やす。長時間労働の実態を覆い隠し、助長する」と批判した。長時間労働の解消には教員の定数改善が必要と訴えた。

     

    〈写真〉19春闘勝利を訴える小田川代表幹事(10月25日、都内で)