連合総研は10月25日、2019年度の経済見通しを公表した。昨年を上回る賃上げで実質賃金が増加した場合、経済規模の変化を示す実質国内総生産(GDP)の成長率は18年度見込みと同程度の対前年比1・2%増となるが、実質賃金が増えない場合、消費税率引き上げの影響などから、成長率は大幅に落ち込むと警告している。
試算は連合総研が毎年実施。連合はこのほど確認した19春闘基本構想で、この見通しを参考に賃上げ要求を検討するとしている。
名目賃金が前年度を大きく上回り、生産性の伸びを反映した形で実質賃金が改善した場合を「ケースA」と想定(表)。その場合、民間消費が景気の下支えとなり、実質GDP成長率は18年度見込みと同程度の1・2%となる。
それに対して、「ケースB」は、名目賃金の伸びが18年度並みとなった場合を想定。19年度の消費者物価上昇率予測は消費増税の影響などから1・2%となるため、実質賃金は前年比マイナスになると指摘。安定的な経済成長への推進力は生じないとした。
藤本一郎所長は「2018年から世界経済は鈍化している。外需による経済成長は難しく、国内需要の伸びが鍵だ。輸出が減れば、設備投資にも影響が出るため、個人消費に依存せざるを得ない」と述べ、「少なくとも実質賃金の引き上げが不可欠」と分析した。
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