ハラスメント(嫌がらせ)対策などを議論する労働政策審議会の雇用環境・均等分科会が10月17日に開かれ、「ハラスメントの定義」や「顧客等からの迷惑行為をハラスメントに含めるか」などについて討議した。
労働側はセクハラ・パワハラの区別なくハラスメント全般の禁止規定を制定するとともに、顧客など第三者からの迷惑行為も対象に含めるべきと主張。使用者側は「現実的でない」「範囲を広げすぎている」と限定的な対策にとどめるべきと述べ、労使の意見が対立した。
●使用者は規制に消極的
労働側委員は、国際労働機関(ILO)で仕事に関わるハラスメント全般を禁止対象とする条約制定の論議が進んでいることを紹介した。使用者側の杉崎友則日本商工会議所産業政策第二部副部長は「(何をハラスメントの対象にするかの)線引きは難しい。法で措置義務を課すべきではない」と述べた。布山祐子経団連労働法制本部上席主幹も「労働側の提案は職場のハラスメント対策(の範囲)を超えている。日本で進められる現実的な議論を求める」と発言。対象範囲を限定すべきと訴えた。
労働側委員の井上久美枝連合総合男女・雇用平等局長は「多様な働き方が日本で増えていることを考慮すれば、ハラスメントの定義も広がる。(禁止に向けた)世界的潮流が強まっている中で日本の法律がなにも変わらないなら、大きな禍根を残す」と強調した。
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