10月24日招集の臨時国会に提出予定の出入国管理法改正案について、労組が警鐘を鳴らしている。
法案は、従来の高度な専門的・技術的分野という縛りを緩め、最長5年の在留資格を設ける内容。家族の同行は認めず、外国人技能実習生(最長5年)からの移行を想定する。既に建設や介護、コンビニなどの業界が活用に名乗りをあげている。政府・与党は臨時国会会期中での成立を狙っているとみられる。
連合の神津里季生会長は10月18日の定例会見でこの問題を問われ、「入管法改正で済む次元の問題だろうか。臨時国会という限られた時間では議論しつくせない。国のあり方にも関わる問題だ」と危機感を表明した。
現在の外国人労働者の受け入れ論議について、「使う側の論理」への偏重を憂慮。「処遇、家族(の同行)、人権の問題をどうするのかがよく見えない。非常に不安視、疑問視している」と語った。連合は、国民的な議論を早急に行うべきだとし、多発する労働法違反、人権侵害の解決が先決――などとする対応方針をまとめている。
全労連は今回の在留資格創設の動きについて、「拙速すぎる」とし、撤回を求める姿勢だ。「移住労働者の働き方と共生に関する検討会議(仮称)」を近く発足させる。純中立労組など国民春闘共闘委員会の枠組みを基本に、建設など対象となる業種の労組と対応を検討しながら、運動を展開する。
野村幸裕事務局長は同日の会見で、「拙速な制度の拡大は、現場、法制度、社会に混乱をもたらす。まずは人権侵害、過酷な労働条件の改善を図ることが国に課された課題ではないか」と述べ、臨時国会での性急な制度確立に対峙(たいじ)する姿勢を示した。
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