「機関紙連合通信社」は労働組合や市民団体の新聞編集向けに記事を配信しています

    保育士平均より2万円低い/院内保育所の初任給/医労連が実態調査発表

     日本医労連は10月9日、子どもを持つ医療労働者のために運営されている院内保育所について「2017年度実態調査」の結果を発表した。院内保育所の保育士の初任給は16万5543円で、保育士全体の初任給(18万7600円)より2万2千円も低いことが分かった。

     調査は3月に実施し、121施設から回答があった。

     院内保育所の保育士の46・8%が非正規で、そのうち勤続年数5年未満が60・6%を占める。医労連の森田しのぶ委員長は「低賃金や長時間労働などの処遇の悪さから働き続けることが困難な現状がある」と指摘する。

     院内保育所では日曜保育(48・8%)や夜間保育(40・5%)を実施している園が多く、保育士1人にかかる負担は大きい。

     公立保育園の開園時間(保育時間)は8時間が原則で、11時間が上限となっているのに対し、院内保育所では10~11時間未満が32・0%、11~12時間未満が22・7%と長時間になりがちなことも分かった。  フルタイム2人、パート1人の職場で働いているという院内保育所の保育士(千葉県)は「少ない人数で仕事を回さないといけないので大変。掃除も給食も保育士がやっており、長時間勤務が当たり前。書類仕事の量も認可保育所と同じなのに、待遇は良くない」と話した。

     院内保育所の多くは認可外。認可を受けて処遇改善を図ろうとしても、保育所の建築基準や地域の児童の受け入れなどの条件を満たす必要があり、困難だという。

     医労連は、認可園並みの水準に近づけるよう、補助金制度の充実や、院内保育所の原則直営化を求めていく方針だ。