有期契約労働者との不合理な格差を禁止する労契法20条。最高裁は6月、初めて同法に基づく二つの判決(ハマキョウレックス事件、長澤運輸事件)を出し、一部手当の不支給を不合理と認める一方、格差の大きい賞与については認めなかった。今後、メトロコマースと日本郵便について高裁判決が予定されており、賞与の格差是正に応えるかが焦点となる。
地下鉄・東京メトロの売店で働く有期契約労働者をめぐる20条裁判で東京高裁は9月26日、本人尋問を行った。裁判は11月19日に結審、年度内に判決が出る見通しだ。
売店業務の内容は無期雇用も有期雇用も違わない。原告らの月収は手取りで約13万円。一時金は10万円で20年以上据え置き。退職金はない。原告を代表して尋問に立った後呂良子さんは、住宅手当が支給されず、家賃の更新料が負担になっていること、地デジ対応のテレビを買えないことなど、生活苦を訴えた。
原告の一人、瀬沼京子さんは「裁判で正社員との格差が明らかになり、自尊心が傷ついた。私たちの人権は何なのか」と憤る。
原告代理人の今野久子弁護士は、差額が大きい賞与と退職金の格差是正を認めるかどうかが、他の20条裁判にも影響すると指摘した。「定年は正社員と同じ65歳。何十年働いても退職金はない。身分差別ではないか。裁判所は実態を見てほしい」と述べた。
●日本郵便、12月に判決
日本郵便の20条裁判(東京高裁)は9月25日に結審し、12月13日に判決の予定。日本郵便裁判原告の浅川喜義さんは「裁判の焦点は同じ賞与。賞与も生活給の一部だ。一緒に運動で勝ち取らなければならない」と語った。
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